オーバーサイズピストン選択のポイント


オーバーサイズピストンの適正なサイズ選択は、損傷したシリンダーの傷の深さにより
決定します。
傷の深さは、ある程度目視により判断できますが、最終的にはボーリング加工を行って
みないとわかりません。
シリンダー修復の為のボーリング加工は、+0.25→+0.50→+0.75・・・・・と段階的に加工
して行き、傷が取り切れた(傷が無くなった)サイズで仕上げるのがベストな加工です。
段階的な加工をする為には、最終仕上げ寸法を見出す為、それぞれのサイズのピストン
を用意する必要があります。
通常、ボーリング業者に作業を依頼する場合は、傷の深さをある程度見極め、傷が取り
切れるであろうサイズ以上のピストンを1シリンダーにつき1個用意します。
傷の深さの見極めは、機械加工の経験及びエンジン修理のセンスが必要ですが下記の
画像及び注釈を参考にして頂き、各自で判断して”オーバーサイズピストンキット”購入の
手助けとして下さい。
また、事前にボーリング業者に相談し、業者に判断を仰ぐのも一考です。
通常、焼付いたシリンダーには、+0.5mm以上のオーバーサイズ加工をお薦めします。

エンジンの症状 ・軽度の焼付き
・シリンダーコンプレッション低下
・エンジンパワー感の低下
・比較的高回転域でよく回る
シリンダーの状態 ・部分的なクロスハッチの消失
・爪先で僅かにひっかかる程度の浅い縦傷
・軽度の赤錆
選定サイズ 現状シリンダーサイズ+0.25mm
エンジンの症状 ・焼付き
・アイドリングしない/不安定
・シリンダーコンプレッション低下
・クランキング出来ない
シリンダーの状態 ・爪先で確実にひっかかる傷
・アルミ片付着
・ポートのカジリ(リング折損)
・異物の噛み込み
・深さのある蝕孔(コロージョンピット)
選定サイズ 現状シリンダーサイズ+0.50mm以上


用語解説(シリンダー加工を前提とした一般的な解釈)
ボーリング加工    : フライス盤、ボーリング専用機等により円筒の内径を切削する加工。
一般的にはオーバーサイズ加工と同様に表現される。
オーバーサイズ加工: ボーリング後ホーニングを行いシリンダー内壁にクロスハッチを形成
させ、所定寸法まで仕上げる加工。